指導の場から生まれた九九の物語


コンセプト

子どもたちに算数・数学の指導をしています。小2の秋、ほとんどの子どもが九九の山を越えていきますが、中には6の段以降が覚えられず投げ出してしまう子どもがいます。そんな子どもたちとの練習の中で生まれたのが、この九九で歌う『まいごのクーちゃん』です。

 

九九を覚えることを苦手としていても、豊かな音感を持つ子どもは、ストーリーに惹きこまれながら歌い演じるうち、いつの間にか九九を身につけていきます。遊びの中でこそ子どもは天才ぶりを発揮します!

 

曲はおしゃれなメロディーでも、凝ったリズムでもありません。でも、だからこそ子どもの口に馴染みやすく定着を可能にします。

高速再生で歌ってみると、平易なメロディーが素直に九九暗唱につながることに気づかれるでしょう。

 

音楽家が作った九九の歌は数ありますが、子どもの苦手を熟知した指導者が、指導の場で子どもたちと共に作ったのが、この九九で歌う物語です。

 


曲と物語ができるまで

始まりは、「3×7=21, 3×8=24, 3×9=27」からでした。[7][1][4][7]と、同じような読みが続くところです。この苦手部分をまずメロディーにして、咽の動きに違いを感じながら繰り返し練習しました。見た数字をそのまま記憶するのは難しくても、音を発するときの咽の動きが九九を記憶するときの助けとなり、子どもたちはあっという間に九九を身に着けました。

 

やがてこのような部分がいくつかできて、それを繋げて適当にストーリーを付けてみたら、子どもが身を乗り出して、次の段は次の段はとせがみました。

5の段までは何とかできましたが、6の段から先はもうストーリーが思いつきません。すると、ある子が「6の段は森に霧が出てきた」と続けてくれて、その先がまた繋がって、とうとう9の段までの一つの物語となりました。